私は大学4年間、法律を勉強してきました。その中で、多くの種類の法律を学んできました。
それでも、日本には無数の法律があり、一般の学生では到底知ることはない法律も存在します。
ただ、そのような法律も、様々な面から種類分けが出来ます。
そこで今回は、これから法律を学ぶ人や簡単にでいいから法律を知りたい人向けに、『日本の法律の大まかな種類わけ』を紹介していきます。
そもそも法律とは...?
法学部にはいって、最初に学ぶ分野は憲法です。
このときに「憲法は法律ではない」ということを学びます。一体どういうことでしょうか?
実は「法律」とは、国会で制定されたものだけを言い、政令(内閣の命令)や省令(各省の大臣が制定する命令)、条例、それに憲法も法律とは呼びません。
国会は「国で唯一の立法(法律をつくれる)機関」(憲法41条)とされているのも、このような事情からです。
さらに言えば、法律は「国民の権利・利益を制限するもの」とされますが、憲法は「国民の権利(人権)を保障するもの」という違いもあります。
例えば、元々憲法では国民は自由とされていますが、自由だからといって、殺人や窃盗を許すわけにはいきません。
このように、憲法で自由を広く認め、法律で細かく制限していくというのが、現在の日本の法制度です。
法律の内容から見た種類分け
では、その「法律」の中身での種類分けを見てみましょう。
法律は、大きく分けて3種類あります。
まずは、私たち一般人の生活のルールについて規定した「民事法」という分野が存在します。民法や商法、会社法等がこれに該当します。
2つ目に、犯罪の内容や罰則について制定した「刑事法」があります。刑法等がこれにあたります。
3つ目の種類分けに「行政法」があります。これは、私たち一般市民ではなく、行政(国や自治体)の行為についての決まりが規定されています。どのようなことが出来るか、その行為をするにはどのような手続きを行うべきかが定められています。
「何のための法律か」という区別の仕方
その法律が何のために存在するかによっても、種類分けが出来ます。
先程述べたとおり、法律は、国民の権利や利益を制限するためのものです。
実際に、その権利・利益について規定した法律のことを「実体法(実体法)」といいます。民法や刑法等がこれに当たります。
ただ、このような権利があるといっても、それを実現できなければ「絵に描いた餅」です。
そこで、このような権利・利益を実現するために、裁判所を頼ったりすることになります。
そのための法律が「手続法」です。民法に規定された権利・利益を実現するための民事訴訟法や犯罪者を処罰する手続を定めた刑事訴訟法等があります。
特別法と一般法
日本には無数の法律があると先程述べました。これは、多くの特別法があるためです。
法律には、一般法と特別法という区別があり、一般法はより抽象的なルールを規定し、さらに詳しいことを特別法が規定しています。
例えば、刑法には暴行罪が規定されています。人を殴るなどの行為がこの犯罪に当たります。
この暴行行為を集団で行う場合には、刑法の他に特別法の「暴力行為等処罰に関する法律」により処罰される可能性が出てきます。
また、通常の物の売り買いは民法に規定される売買の規定が適用されますが、私たちが普段買い物するときは消費者ですので、民法ではなく特別法の消費者契約法が適用されます。
日本の法律の種類-まとめ-
今回紹介した法律の分類は次の通りです。
①民事法と刑事法、行政法
②実体法と手続法
③一般法と特別法
この3つの種類分けです。
法律の基礎となる六法(憲法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法)と行政法についても、この種類分けによって分類することができます。
大まかな分類を理解することが法律を学ぶ足がかりとなります。これをきっかけに、法律の全体像をつかんでおきましょう。