親会社や得意先の会社から忘年会の「招待状」が届くことってありますよね。
その忘年会に取引先として招かれても、ただ飲むだけなら「楽しい忘年会だぁ!」と言って気楽にもしていられます。
しかし、今年昇格したばかりの年の若い係長さんくらいの方ですと、「そんなこと、諸先輩方を前にして一体どうすりゃあいいんだ?」と大いに戸惑ってしまうかもしれませんよね。
そこで今回は、社会人生活30年超の間に30回の忘年会シーズンを通り過ぎてきた私が、『忘年会の挨拶の心構え』を3つほどご紹介いたしましょう。
忘年会の乾杯の挨拶の心構え
1.はじめに何を言うのか?
挨拶の最初の出だしは何と言えばよいのでしょう。
まずは、自己紹介です。
自分の会社名・氏名を名乗って...
「ご指名をいただきましたので誠に僭越(せんえつ)ではございますが乾杯の音頭を・・・」というような感じで始めます。
特に、他の取引先の会社の方々もその場に招かれている場合は、自分の役職も入れた方が良いかもしれません。
「○○産業で営業係長を務めさせていただいております△△と申します。」というようにですね。
この人はどこの誰?という視線に対して○○のこういう者だ!と応えるかたちができ上がります。
この方が良い印象になる感じがしますね。
この出だしがうまく行けばあとが楽になります。良いスタートが切れれば流れに乗るだけです。
緊張してガチガチになっていた心臓もゆるりと落ち着きを取り戻します。
通常の挨拶のように、堅苦しくすることも長々とやる必要もありませんからね。
ただし超簡略的にというわけにもいきません。では、次に挨拶の具体的な内容をご紹介します。
2.具体的に何を話せばいいの?
感謝の意を伝える
まずは、一同が会することができたことへの感謝の意を伝えましょう。
ここで注意したいことは、自分の会社が招かれたことへの感謝ではありません。
あくまでも「みんなの感謝」を代弁することです。
みんながひとつの場所に集って一緒に忘年会に参加できるということはたいへんに有り難いことですよね。その気持ちをしっかりと伝えましょう。
実は私も、昔やらかしてしまいました。挨拶に立った際、自分の会社が招かれたことの感謝などを述べたのですが...
宴もたけなわの頃、同席していた上司からお手洗いに連れていかれて叱られました。
「さっきの挨拶は何だ!うちの会社のことばかり言って、ほかのところから妬まれたらどうすんだ!」と。
「あっ...」と自分で気が付いたときにはもう手遅れでしたね。
あくまでも取引先の「代表」という立場での挨拶ですから、自分の会社だけ『良い子』になってはいけないわけです。
あまりの情けなさにその後はいくら飲んでも酔えない感じで、ただただ反省の重みにずっしりと押しつぶされておりました。
一年の総括をする
さてさて、続いて話す内容としては、軽くその一年の総括を話せば良いですよね。
「今年の4月に○○なことが起きたけれど、ここにいるみんなの力で見事に乗り切ることができた」なんて話を軽くです。
なぜ軽くで良いのか?
それは、そのへんの話は招いている側の会社のトップの人が、冒頭の挨拶のなかで既にしているはずだからです。
それに早く乾杯の挨拶を終わらせて飲みたいですよね。当然その場にいる多くの人が早く飲みたいと思っているからです。
締めくくりをする
そして最後「乾杯」前の締めくくりとして、「来年もまた同じようにみんなで集まることができるように」という願いを伝えることも良いでしょう。
『このような有り難い集まりが今年で終わりなんてことにならないようにしたい』という願いですね。
これはあくまで『願い』です。
「要求」ではありませんからお間違えのないように。これも軽いタッチでゆきましょう。
そして、来年へ向けての意気込みや願いをまとめる流れで「○○を祝して乾杯!!」という感じでしょうか。
場の雰囲気を壊さないために!
挨拶をする際に注意しておきたいことがいくつかあります。
まず、自分の会社のことや自身の話ばかりするのはいけません。
招く側の会社に招かれた側の取引先という「皆さんの集まり」ですから、そのことをしっかりと自分の頭の中に叩き込んでおきましょう。
私はそれで叱責されたことは先ほどのとおりです。当然、自慢話なんぞはもってのほかですね。
さらに、景気の悪い話や暗い話もいけませんよね。
ただ自分の会社や自身のことを謙遜して言うのなら「笑い」をとれるような範囲で許されるかもしれません。
ただし、それですべった場合のことは覚悟しておきたいものです。
それから、世間話のつもりでも政治や世情の話はいけません。
その手の話をする人はたいてい「オレは時事問題に詳しいんだ!」というしたり顔になったりどや顔になったりしがちですね。
ですが、凝固という言葉がピッタリ当てはまるくらいに「場」はシラケて固まりますのでやめましょう。
それから、まさかありえないとは思いますが宗教の話もご法度ですよ。
最後にあらためて、長い時間をかけ過ぎてもいけません。
乾杯の挨拶は堅い話は極力抜きにしてほどほどにして、「乾杯!!」で早く始めましょう。
まとめ:挨拶は長すぎず適切に!
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乾杯の挨拶の出だしは、自分の会社氏名を名乗り、ご指名をいただきましたので誠に僭越ではございますが・・・という感じで、後は流れに乗りましょう。
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挨拶の内容は、みんなの代表という立場で感謝を述べその年を総括します。来年も集いたいという願いを添えても良いでしょう。ただし長話はしないように。
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挨拶の内容として、自分の会社や自身の話ばかりしてはいけません。景気の悪い話や政治、宗教の話もしないようにしてその場の雰囲気を壊さないようにしましょう。長話もしないことを再確認です。
忘年会で取引先としてせっかく「乾杯の挨拶」のご指名いただいても、ただ単に「それでは!乾杯!!」と超簡略的に済ませてしまうと何となく社会人として情けないような感じがします。
ましてや、招いてくださった会社の方々や他の取引先の方々の間で「使えないヤツ」なんて思われてしまっては恥かしい限りですね。
忘年会の挨拶は一般的なスピーチとは違いますから、手短に軽くでも差し支えないとは思います。
しかしそれゆえに、短いながらも『魂』の入ったものにして、一年の締めくくりにふさわしく年忘れを盛り上げるようなものにしたいですね。